大亜創業投資、ダブルE戦略でグループの安定成長を支える「第三の柱」を構築【商業週刊】

2024/12/05

大亜創業投資、ダブルE戦略でグループの安定成長を支える「第三の柱」を構築

商業週刊

       台湾企業におけるベンチャーキャピタルの模範的存在である大亜創業投資股份有限公司は近年めざましい成果をあげています。すでにベンチャーキャピタル事業は、ワイヤーケーブル事業、エネルギー事業に続くグループの三大事業の一角を占めています。

       大亜グループの沈尚弘董事長は、大亜は初期段階からワイヤーケーブルの製造に注力していましたが、現在はEnergy（エネルギー）とEmerging Opportunity（新生の機会）からなる「Double E」を開発し、ESG・持続可能性の概念をベンチャーキャピタル戦略に取り入れていることを強調しました。

忍耐、リスクを恐れぬ姿勢が大亜創業投資に良い結果をもたらす

       「ベンチャーキャピタルには忍耐、そして大胆な想像の両方が欠かせません」。沈尚弘氏はそう強調します。ベンチャーキャピタルの成功は単にリスクを考慮するだけでなく、潜在的な機会に目を向ける力も不可欠です。近年、大亜創業投資はバイオ医療、AI、半導体などの新興産業に積極的に投資を進めています。沈尚弘氏は、投資対象を評価する際は、「その企業がどのような問題を解決し、そのソリューションにどれほどの経済的価値があるのか？」、次に「市場規模がグローバルであるか」、最後に「チームが独自の技術力とソリューションを有しているか」の3点を主に考慮すると述べました。

       成功事例の一つとして挙げられるのが、2013年から10年以上継続投資している保瑞薬業（ボーリュー・ファーマ）です。沈尚弘氏は当時、保瑞薬業が世界の医薬品開発会社にOEMサービスを提供するため、CDMO（医薬品開発・製造受託）に特化していることに注目。そのモデルは半導体産業におけるTSMC(台湾積体電路製造）に通じるものがありました。この先見の明が、10年後に大きな結果を大亜にもたらしたのです。これはコーポレートベンチャーキャピタルの強みでもあります。ファンドに年限の制限がないため、より長期的なプロジェクトに投資することで、企業の発展に寄り添うことができる点が特徴となっています。

ファンドオブファンズ投資の拡大　国外の優良投資対象に手を拡大

       ポートフォリオを拡大するため、大亜創業投資はファンドオブファンズ（Fund of Funds）の運用にも着手しました。これまで大亜創業投資の投資対象の約6割は台湾に集中していましたが、近年は徐々に変化しています。大亜創業投資総経理の李文彬氏は、FOF戦略によりさまざまな地域や産業において投資機会を得られるだけでなく、「これにより、他のファンドの専門知識や人脈を活用できる」と述べました。現在はすでにアメリカ、日本等のファンドに投入しています。

       沈尚弘氏は、大亜はコーポレートベンチャーキャピタルとしてエバーグリーンファンド（Evergreen Fund）の特性を備えており、より長期的なプロジェクトに投資できると指摘しました。当社は主にリソース配分や潜在的なレバレッジの高さを考慮し、アーリーステージ（Early Stage）のスタートアップ企業に投資しています。どのようにして高いポテンシャルを秘めたプロジェクトを見つけるかが、投資の鍵となります。

       今後、大亜創業投資はESG・持続可能な開発の概念を投資戦略に取り入れていきます。沈尚弘氏は、今後は国連の持続可能な開発目標（SDGs）を依拠とし、環境や社会的利益に配慮した投資対象に注目していくことを方針としています。

       「ベンチャーキャピタルは単なる金銭的なリターンを得るためのものではありません。それは企業が変革し、次のステージに進むためのツールであるべきです」大亜創業投資副総経理の沈冠廷氏は、「ワイヤーケーブル事業とエネルギー事業に加えて、ベンチャーキャピタルが大亜の今後の発展を支える第3の柱になる」と強調しました。ベンチャーキャピタル事業により、グループの成長可能性をさらに広げるとともに、評判の高いベンチャーキャピタルブランドを構築することで、今後も優良な投資機会を捉えていくことを目指していきます。

全文出典：: 商業週刊  https://www.businessweekly.com.tw/business/indep/1005057